研究要旨

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1. rt-PA患者登録研究

A. 研究目的

危険因子管理と抗血栓療法(血栓溶解療法を含む)は脳卒中再発予防の根幹を成す内科治療である。慢性期脳卒中への再発予防治療のエビデンスが欧米を中心に集積されつつあるが、日本人は病型内訳や好発部位などの脳卒中の特質や、薬物療法時の至適投与量などが欧米人と異なり、独自の再発予防法を確立する必要がある。とくに超急性期から急性期は治療介入による転帰改善効果がもっとも期待される時期であるが、同時期の危険因子管理の意義は国内外のいずれにおいても明らかでなく、同時期の抗血栓療法も標準化されていない。

本研究では、国内各地域を代表する脳卒中基幹10施設を選んで3年間の多施設共同研究を行い、超急性期からの危険因子管理・抗血栓療法の有効性と安全性を検証する。高血圧や脂質・糖代謝異常等の古典的危険因子や、慢性腎臓病など近年注目される危険因子、急性期バイタルサインや血液学的データ、急性期抗血栓療法の実態と、患者転帰、再発予防との関連を解明する。

「rt-PA患者登録研究」の目的は、急性期脳梗塞患者への遺伝子組み換え組織型プラスミノゲン・アクティベータ(recombinant tissue-type plasminogen activator: rt-PA)静注療法の国内基幹施設における治療成績を明らかにし、背景にある危険因子や急性期におけるその管理、発症前や急性期の抗血栓療法が治療成績に及ぼす影響を解明することである。rt-PA静注療法の国内承認(2005年)は欧米や東アジアの諸国と比べて数年遅れたが、わが国独自の低用量(アルテプラーゼ 0.6 mg/kg)での治療やMR診断を用いた患者情報の収集、脳梗塞亜病型の綿密な診断などが、世界から注目されている。今や国内でも脳梗塞標準治療となったが、承認後の多数例をまとめた治療成績の報告に乏しい。この治療と併用ないし後続する適切な急性期危険因子管理や抗血栓療法を明らかにすることにより、脳梗塞治療成績を改善させ、要介護患者を減らし得ると考える。